01どんな魚か
北海道の、十いくつかの川にしか上らない魚。
ししゃもは、北海道にしかいない魚です。北海道立総合研究機構(道総研)の読みものによると、すんでいるのは北海道の太平洋側で、東は厚岸町から、西は八雲町までの、わずか十数本の川にだけ、卵を産みに上ります。
名前は、アイヌ語の「ススハム」から来ています。スス は柳、ハム は葉。漢字では「柳葉魚」と書きます。
スーパーで「ししゃも」として売られているものの多くは、別の魚です。1970 年代の後半、本物のししゃもの獲れ方が安定しなかったため、同じ仲間で種類の違う「カラフトシシャモ」(カペリン)が、ノルウェーやカナダから年に約 3 万トンも輸入されるようになりました。北海道の本物は、区別して「本ししゃも」と呼ばれます。
02白糠
白糠には、ししゃもの上る川が二つある。
白糠町のページは、こう書いています。ししゃもは毎年 11 月ごろ、町を流れる茶路川と庶路川へ、卵を産みに回ってくる。一つの町で二つの川に上るのは白糠だけだ、と。
味についても、町はこう説明しています。十勝の沖から少しずつ脂が抜け、白糠の沖に来るころ、オスは身がしまり、メスは卵が熟す。だから白糠の沖のししゃもがいちばんおいしい、と。これは町の言い分ですが、川のすぐ前の海で獲る、という事情は確かです。
獲り方は「こぎ網」という、小さな船で引く底引き網です。漁の時期は 10 月と 11 月だけ。道総研によると、卵を持ったメスがとくに喜ばれるので、川に上る直前のこの時期に獲ります。獲りすぎないよう、漁の期間中に魚の熟し具合を調べて、川に上る日を見積もり、漁を終える日を決めています。
獲ったししゃもは、1% ほどの塩を加え、冷たい浜風で 2、3 日干します。これが「すだれ干し」です。
03数字
30 トンで、8 千万円。
白糠町は、白糠漁港でその年に何がどれだけ揚がったかを、公開しています。2025 年(令和 7 年)は、全部で 1,851 トン、13.1 億円でした。金額の大きい順に並べると、こうなります。
| 種類 | 数量(トン) | 金額(億円) | 金額の割合 | 1 kg あたり(円) |
|---|---|---|---|---|
| タコ | 600.7 | 3.79 | 28.9% | 631 |
| 秋サケ | 219.1 | 2.67 | 20.3% | 1,216 |
| ホッキ貝 | 273.7 | 1.55 | 11.8% | 566 |
| ツブ貝 | 223.4 | 1.46 | 11.2% | 655 |
| カニ | 24.4 | 1.46 | 11.1% | 5,969 |
| ししゃも | 29.9 | 0.81 | 6.2% | 2,718 |
| 合計(すべての種類) | 1850.8 | 13.11 | 100% | 708 |
金額でいちばん大きいのはタコで、3.79 億円。白糠の海は、まずタコの海です。ししゃもは 6 番目で、29.9 トン、0.81 億円でした。
ししゃもは、量では全体の 1.6% しかありません。それでも金額では 6.2% を占めます。1 キログラムあたり 2,718 円だからです。
比べるものを並べます。同じ 2025 年、釧路港のイワシは 1 キログラムあたり 41 円でした。白糠のししゃもは、その 66 倍です。釧路港にもししゃもは揚がっていて、34.5 トン、1 キログラムあたり 3,073 円でした。
道総研の読みものには、北海道全体のししゃもの水揚げは年に平均 1,263 トン、とあります(いつの平均かは書かれていません)。その数字と比べると、2025 年の白糠の 29.9 トンは、2.4% にあたります。同じ読みものは、不漁の年には 1 キログラム 2,000 円を超える、とも書いています。2025 年の白糠と釧路の値段は、その「不漁の年」の水準です。
04漁協
82 人、84 隻。
白糠の漁業協同組合は、1949 年(昭和 24 年)にできました。いまの組合員は 82 人、船は 84 隻です。
町のページによると、沿岸から 200 カイリの決まりができてからは、遠くオホーツク海まで出る漁は姿を消し、白糠漁港を足場に、近くの海で獲る漁が中心になりました。獲るのは、秋サケ、ししゃも、毛ガニ、タコ、ホッキ貝、ツブ貝などです。
釧路港の移り変わりは、「釧路の海で、何が獲れてきたか」に書きました。白糠のししゃもが返礼品としてどれだけ全国へ出ているかは、ふるさと納税の読みものの数字が手がかりになります。
- ししゃもは北海道にしかいない魚。上る川は、厚岸町から八雲町までの十数本だけ。
- 白糠町には、ししゃもの上る川が二つある(茶路川と庶路川)。
- 2025 年、白糠漁港のししゃもは 29.9 トン、0.81 億円。1 kg あたり 2,718 円。
- 白糠漁港の金額の 1 位はタコ。ししゃもは 6 位。
- 漁の時期は 10 月と 11 月だけ。
出どころ:白糠町のページ「白糠の漁業」(白糠漁業協同組合の業務報告書による 2025 年の数量と金額)「ししゃも」、北海道立総合研究機構「北海道の漁業図鑑 シシャモ:ししゃもこぎ網漁業」「食ものがたり 第 22 話」、釧路市「釧路市の水産」。このページの最終更新:2026 年 10 月 14 日。