01順位
人口 7 千人の町に、223 億円。
総務省は毎年、すべての市町村について、ふるさと納税でいくら受け取ったかを公表しています。2025 年度(令和 7 年度)の表を、受け取った額の多い順に並べると、こうなります。
1 位は大阪府の泉佐野市で 230.4 億円。2 位が北海道の白糠町で、223.3 億円です。3 位は宮崎県の都城市、4 位は北海道の別海町でした。全国には 1,741 の市区町村があります。白糠町は、その 2 番目です。北海道の中では 1 番目です。
件数は 127.6 万件。全国のふるさと納税は、合わせて約 1 兆 3,314 億円なので、その 1.7% が白糠町に集まったことになります。
白糠町の人口は、2026 年 1 月の時点で 6,840 人です。受け取った額を人口で割ると、住民 1 人あたり 326 万円になります。
02伸び方
2014 年度までは、年に 2 千万円もなかった。
はじめから多かったわけではありません。制度が始まった 2008 年度から 2014 年度まで、白糠町の受入額は、多い年でも 1,220 万円でした。
動いたのは 2015 年度です。この年に 1.6 億円となり、それから 2025 年度まで、10 年続けて前の年を上回りました。2019 年度に 67.3 億円、2021 年度に 125.2 億円で 100 億円を超え、2025 年度が 223.3 億円です。
03釧路地方
釧路地方の 8 つの市町村を並べると。
| 市町村 | 受入額(億円) | 件数(万件) | 全国の順位 | 住民 1 人あたり(万円) | 費用の割合 |
|---|---|---|---|---|---|
| 白糠町 | 223.3 | 127.6 | 2 位 | 326.5 | 49.7% |
| 弟子屈町 | 62.9 | 31.0 | 24 位 | 99.4 | 49.7% |
| 釧路市 | 24.5 | 11.6 | 106 位 | 1.6 | 47.1% |
| 浜中町 | 13.2 | 7.3 | 246 位 | 25.4 | 49.8% |
| 釧路町 | 11.3 | 4.3 | 291 位 | 6.3 | 48.0% |
| 厚岸町 | 10.2 | 5.4 | 321 位 | 12.8 | 49.9% |
| 鶴居村 | 3.8 | 2.0 | 705 位 | 16.0 | 30.9% |
| 標茶町 | 1.7 | 0.8 | 1,031 位 | 2.5 | 49.6% |
2025 年度。順位は、全国 1,741 の市区町村の中での順位。1 人あたりは、受入額を 2026 年 1 月 1 日の人口で割ったもの。費用の割合は、受入額に対する、募集にかかった費用の割合。
白糠町に続くのは弟子屈町で、62.9 億円、全国 24 位です。釧路市は 24.5 億円で 106 位。8 つを合わせると 350.8 億円になります。
額の大きさは、町の大きさと比例していません。人口がいちばん多い釧路市より、白糠町のほうが、およそ 9 倍の額を受け取っています。
04お金の行き先
223 億円の半分は、費用として出ていく。
受け取った額が、そのまま町の財布に入るわけではありません。総務省の表には、募集にかかった費用も載っています。白糠町の 2025 年度は、こうでした。
| 費用の種類 | 金額(億円) | 受入額に対する割合 |
|---|---|---|
| 返礼品を用意する費用 | 53.5 | 24.0% |
| 返礼品を送る費用 | 22.6 | 10.1% |
| 事務の費用 | 33.3 | 14.9% |
| 広報の費用 | 0.8 | 0.3% |
| 決済の費用 | 0.6 | 0.3% |
| その他 | 0.1 | 0.0% |
| 費用の合計 | 110.9 | 49.7% |
| 差し引き | 112.4 | 50.3% |
いちばん大きいのは、返礼品を用意する費用の 53.5 億円です。寄附してくれた人に送る魚や肉などを、事業者から買うお金にあたります。次が事務の費用、その次が送る費用です。
つまり、ふるさと納税は、町の役場にとっての収入であると同時に、返礼品を作って納める事業者にとっての、大きな売り先でもあります。白糠町では、その額が一年で 53.5 億円です。
05出ていくお金
住んでいる人が、よその町に寄附するぶん。
ふるさと納税には、反対向きの流れもあります。その町に住んでいる人が、よその町に寄附をすると、住んでいる町に納める住民税が、そのぶん減ります。
| 市町村 | よそへ寄附した人 | 寄附した額(億円) | 住民税から引かれた額(億円) | 入ってきた額(億円) |
|---|---|---|---|---|
| 白糠町 | 257 人 | 0.15 | 0.12 | 223.3 |
| 弟子屈町 | 246 人 | 0.29 | 0.21 | 62.9 |
| 釧路市 | 8,440 人 | 6.78 | 5.30 | 24.5 |
| 浜中町 | 237 人 | 0.21 | 0.16 | 13.2 |
| 釧路町 | 1,011 人 | 0.67 | 0.53 | 11.3 |
| 厚岸町 | 322 人 | 0.20 | 0.16 | 10.2 |
| 鶴居村 | 118 人 | 0.08 | 0.07 | 3.8 |
| 標茶町 | 275 人 | 0.23 | 0.18 | 1.7 |
左の三つは、2025 年中の寄附について、2026 年度の住民税で引かれたもの(市町村の税と道の税の合計)。右は、2025 年度に入ってきた受入額。
釧路市では、8,440 人がよその町に 6.78 億円を寄附し、住民税が 5.30 億円引かれました。入ってきた額は 24.5 億円なので、差し引きでは入るほうが多くなっています。釧路地方の 8 つの市町村は、どこも、入るほうが多い側です。
06商売から見ると
返礼品を出している方へ。
ここからは、数字ではなく、私の考えです。
返礼品を出している事業者にとって、ふるさと納税は、とても太いお客さまの流れです。ただ、その流れの元栓は、自分の手の中にありません。どの品を、いくらで、どこまで出してよいかは、国の決まりで決まります。総務省は 2026 年だけでも、4 月、6 月、8 月、9 月と、運用についての通知を出しています。
ですから、流れが太いうちに、自分の名前で探してもらえる場所を持っておく意味があります。返礼品で品物を知った人が、次は店の名前で探して、直接買いに来る。そういう道を一本作っておくと、決まりが変わっても、お客さまが残ります。
逆に、返礼品だけで手いっぱいで、これ以上は作れないという事業者には、ホームページは要りません。そのあたりの見分け方は、「ホームページが要らないのは、どんなときか」に書きました。
- 2025 年度、白糠町のふるさと納税の受入額は 223.3 億円。全国 1,741 の市区町村で 2 位、北海道で 1 位。
- 住民 1 人あたりにすると 326 万円。
- 2014 年度までは年に 2 千万円未満。2015 年度から 10 年続けて増えた。
- 受入額の 49.7% は、返礼品や事務などの費用。返礼品を用意する費用だけで 53.5 億円。
- 釧路地方の 8 つの市町村は、どこも、出ていく額より入ってくる額のほうが多い。
数字の出どころ:総務省「ふるさと納税に関する現況調査結果(令和 8 年度実施)」の、各自治体の令和 7 年度受入額等、受入額及び受入件数(平成 20 年度〜令和 7 年度)、令和 8 年度課税における住民税控除額等。令和 7 年度の額は決算の見込みです。人口は住民基本台帳(2026 年 1 月 1 日)。このページの最終更新:2026 年 10 月 14 日。