01名前
町の名前が、「カキの多い所」。
厚岸(あっけし)という名前は、アイヌ語の「アッケケシ」から来たとされています。意味は「カキの多い所」。町の名前そのものが、カキです。
北海道の釧路総合振興局のページによると、1643 年、オランダの船が厚岸に寄りました。その航海の記録から、当時の厚岸で、カキが大事な食べものだったことがうかがえるそうです。
明治に入ると、カキは産業になります。1880 年には、国の手で、カキの缶詰を作る所が置かれました。ところが、1887 年ごろから、獲りすぎで量が減りはじめ、天然のカキは絶える寸前まで追いこまれます。
02育てる
獲るカキから、育てるカキへ。
| 年 | できごと |
|---|---|
| 1643 年 | オランダの船が厚岸に寄る。航海の記録に、カキが大事な食べものだったことが書かれている。 |
| 1880 年 | 国の手で、カキの缶詰を作る所ができる(のちに民間へ)。 |
| 1887 年ごろ | 獲りすぎで、天然のカキが減りはじめる。 |
| 1983 年 | 湖の底にまいて育てていたカキが、大量に死ぬ。つるして育てる方法に切り替わる。 |
| 1999 年 | 厚岸町のカキの種の施設ができる。厚岸で生まれ、厚岸で育つカキの種づくりが始まる。 |
| 2000 年 | 一粒ずつ育てる方法(シングルシード)のカキが、はじめて出荷される。 |
| 2016 年 | 二つめの厚岸生まれのカキ「弁天かき」が生まれる。 |
厚岸は、育てる方へかじを切りました。けれども、1983 年、湖の底にじかにまいて育てていたカキが、大量に死にます。これをきっかけに、海の中につるして育てる方法に切り替わりました。カキをまいていた浅瀬は、アサリを育てる場所に変わっていきます。
育てる場所は、厚岸湖と厚岸湾です。厚岸湖は、森の養分を含んだ川の水と、太平洋の海の水が混じる湖。道総研のページによると、湖の中は深さ 1 から 4 メートル、湾は 13 から 20 メートルで、育ち具合に合わせて二つの場所を使い分けています。
水が冷たいことも、カキには幸いしています。ゆっくり育つので、長い時間をかけて養分をためこみます。育てはじめてから出荷まで、2 年から 3 年かかります。
ふつう、カキの旬は秋から冬です。けれども厚岸には、夏でも水の温度が上がりにくい場所があり、そこを使って育ち方を調えるので、一年じゅう出荷ができます。
03厚岸生まれ
種から厚岸で育てる。日本で最初の試み。
育てるカキの「種」(赤ちゃんのカキ)は、長いあいだ、宮城県などから運んできたものでした。ホタテの貝殻に、たくさんの赤ちゃんを付けたものです。
1999 年、厚岸町は、種を自分の町で作る施設を建てました。国内ではじめての、一粒ずつ育てる方式(シングルシード)の施設です。貝殻を細かく砕いた粒の一つひとつに、カキの赤ちゃんを一つずつ付けて、ばらばらに育てます。
この方法は、オーストラリアの町から伝わりました。捕鯨船を助けたことが縁で姉妹都市になった町で、厚岸町が日本で最初に取り入れています。
一粒ずつ育ったカキは、かごの中でころがりながら大きくなります。そのため、殻が丸く深くなり、身が厚くなります。ふつうのカキより小ぶりです。道総研のページは、年や場所によって獲れる量が安定しない、とも正直に書いています。
2016 年には、もう一つの厚岸生まれのカキが出ました。こちらは、厚岸の親から種を取るところは同じですが、ホタテの貝殻に付ける、むかしからの育て方です。きっかけは東日本大震災でした。種を運んでくる先が被害を受けたことから、町と漁協が、地元で種を作る取り組みを始めています。
04数字
年に 200 トンから 300 トン、4 億円から 6 億円。
厚岸町の統計に、カキの量と金額が載っています。ただし、「厚岸の海で、何が獲れていたか」でお断りしたとおり、町の統計は 2007 年までです。
| 年 | 数量(トン) | 金額(億円) | 1 kg あたり(円) |
|---|---|---|---|
| 1998 年 | 212 | 4.05 | 1,909 |
| 1999 年 | 221 | 5.10 | 2,307 |
| 2000 年 | 214 | 5.15 | 2,407 |
| 2001 年 | 277 | 5.99 | 2,163 |
| 2002 年 | 247 | 5.66 | 2,291 |
| 2003 年 | 289 | 6.26 | 2,165 |
| 2004 年 | 312 | 6.41 | 2,054 |
| 2005 年 | 250 | 4.96 | 1,983 |
| 2006 年 | 223 | 4.85 | 2,176 |
| 2007 年 | 198 | 4.20 | 2,124 |
厚岸町「産業統計 漁業」から。1998 年から 2007 年。
10 年のあいだ、カキは年に 198 トンから 312 トン、金額は 4.0 億円から 6.4 億円でした。1 キログラムあたりは、およそ 2,000 円です。同じ年のサンマが 80 円ほどなので、カキは量の少なさを値段で補っている品物だと分かります。
出荷の前には、紫外線で菌を除いた海の水に、48 時間入れておきます。安心して食べられるようにするための手間です。育てる台の数にも、漁協が上限を決めています。湖と湾の水を汚さないためです。
05仙鳳趾
となりの釧路町、仙鳳趾のカキ。
厚岸湾をはさんだ向かいの釧路町・仙鳳趾(せんぽうし)でも、カキが育てられています。こちらは、国や道、町が出している数字の資料を、まだ見つけられていません。資料が見つかったら、書き足します。
- 厚岸の名前は、アイヌ語の「カキの多い所」から来たとされている。
- 天然のカキは、明治の半ばに獲りすぎで減った。いまは育てたカキ。
- 1999 年、厚岸町は日本で最初に、一粒ずつ育てる方式の種の施設を建てた。
- 1998 年から 2007 年のカキは、年に 198〜312 トン、4.0〜6.4 億円。
出どころ:北海道 釧路総合振興局のページ「厚岸産 牡蠣」、北海道立総合研究機構「北海道の漁業図鑑 マガキ:かき養殖漁業」、厚岸町「歴史年表」「産業統計 漁業」。銘柄の名前は、北海道のページに書かれているものです。このページの最終更新:2026 年 10 月 14 日。